古代リディアのエレクトラム金貨とは?世界最古のコインの歴史に迫る!

2020/8/24|著者: アンティークコインタイムズ編集部

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コインの歴史は遥か紀元前の古代にまでさかのぼり、最初のコインが出現したのは紀元前670年のリディア王国だといわれています。

 

古代リディアで発見されたコインはエレクトラム金貨と呼ばれるもので、特殊な金属が使われています。そもそもリディア王国とはどこにあるのか、エレクトラムとはどのような金属なのでしょうか。

 

今回は遥か古代に思いを馳せながら、リディア王国やエレクトラム金貨の歴史とロマンに浸っていきましょう。

 

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世界最古のコインは紀元前670年

世界史上で最初のコインが出現したのは、紀元前670年のリディア王国だといわれています。古代リディア王国にてコインが使われるようになった経緯や、最古のコインエレクトラム金貨とはどのようなコインなのか紐解いていきます。

 

貴金属が貨幣がわりに使われた

最初のコインが出現する以前、現在のエジプト・中近東を中心とする地域では金や銀などの貴金属が物々交換に使われていました。棒状にした貴金属を取引のたびに、重量を量り必要な分だけがカットされていました。

 

しかし、そのやり方だと手間や時間がかかることから次第に輪切り状の貴金属が取引に使われるようになりました。そして、当時最も商取引が栄えていた古代リディアにて、円滑な貿易や取引を進めていくために政府が製造するコインが登場したのです。

 

古代リディア王国とは

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古代リディア王国は、現在のトルコ西部にあった王国のことで紀元前1200年~546年に渡って古代オリエント文明の中心となった国の1つです。

 

古代ギリシャの歴史家ヘロドトスによると、リディア王国の商工業が最も栄えたのが紀元前7世紀あたり、アリアッテス、アリアッテス2世、クロイソス国王が古代オリエントを支配しました。最初のコインとなるエレクトラム金貨を製造したのはアリアッテスだといわれ、国王を象徴するライオンや雄牛などがコインの図柄に使われています。



紀元前546年にリディア王国はペルシア帝国に統一され、その後もエレクトラム金貨は広く流通し古代ギリシャ・ローマの貨幣制度へと発展していきます。

 

エレクトラムとは

リディア王国のエレクトラム金貨は厳密にいうと純金ではなく、金と銀、その他の金属が混同したエレクトラムと呼ばれる金属によって製造されています。

 

エレクトラムは、金70%、銀20%、その他に銅、鉄、パラジウム、時にはプラチナなどが混在する金属です。当時のオリエント文明ではエレクトラムが現代の金にかわる高価な貴金属として扱われていました。

 

後にギリシャ時代に入ってから純金や純度の高い銀がエレクトラムの変わりにコインの素材として使われるようになります。リディア王国時代にも数種の銀貨が製造されています。

 

スターテルとは

リディア王国で普及が始まったエレクトラム金貨はスターテル金貨とも呼ばれています。

 

スターテルとは当時の通貨単位のことで、フルスターテル、ハーフスターテル、1/3スターテル、1/12スターテルなど重さによってコインの種類・価値が区分されています。初期の頃は1スターテルは10~14グラム、後期では8~10グラム。1スターテルのエレクトラム金貨で羊が11頭買えたとこのことです。

 

古代エレクトラム金貨の種類

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それでは古代リディア王国の代表的なエレクトラム金貨とその金貨にまつわる歴史を見ていきましょう。リディア王国の影響から製造されたその他の国のエレクトラム金貨も合わせてご紹介していきます。

 

リディア王国 ライオンコイン(BC610~546年)

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リディア王国のエレクトラム金貨で最も有名なのがライオンコインです。威圧的に吠えるライオンの頭部が刻印されたエレクトラム金貨で、ライオンはリディアの国王を象徴するモチーフです。

 

年代や当時の国王によってライオンの図柄が若干異なり、上記はクロイソス国王の時代のコインだと判別されています。クロイソス王はリディア王国の最後の国王で、546年にペルシア帝国のキュロス王に敗れ、以降ペルシア帝国が君臨する時代へと以降していきます。

 

エレクトラム金貨ではライオン、雄牛、太陽などが権力を象徴するものとして、当時のコインに使われています。コインの裏側のへこみは、表面が盛り上がるように工夫されたもので、裏面には図柄がないのが大きな特徴です。

 

価格相場:鑑定付きでグレードが高いものは100万円~1,000万円以上の値がつきます。劣化がひどいものは数十万円で売買されています。

 

大英博物館にも状態のよいエレクトラム金貨が所蔵されており、品質によっては値が付けられない程の重要文化財として取り扱われています。

 

アケメネス朝 ペルシア王 (BC5~4世紀)

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リディア王国で普及し始めたエレクトラム金貨は、紀元前5世紀~4世紀にかけてペルシア帝国で製造されるようになります。

 

ペルシア帝国の創始者、リディアに変わって古代オリエントの支配者となるのがアケメネス朝キュロス2世です。上記のエレクトラム金貨はキュロス2世が戦闘に挑む姿が描かれており、この時代の代表的なコインです。

 

キュロス2世はリディア王国、メディア王国、バビロニア王国を滅ぼし、巨大なペルシア帝国を築き上げます。その息子カンビュセス2世はさらにエジプトを征服し、ペルシア帝国を拡大させましたが、その後マケドニアのアレクサンドロスに支配者の座を奪われてしまいます。

 

価格相場:鑑定付きMSクラスになると安くても100万円以上で売買されています。劣化が見られる場合で数十万円です。

 

リディア王国のコインに比べると状態が良いものを探しやすいのが特徴です。

 

ミュシア王国 グリフィス (紀元前500~450年)

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リディア王国の上部に位置していたミュシア王国でもリディアの流れを継いで数種類のエレクトラム金貨が製造され普及しました。

 

ミュシア王国はリディア王国時代にはリディアの支配下、ペルシア帝国時代にはペルシア帝国の支配下にありながらも、ギリシア、リディアに隣接する主要都市であったことから戦争や貿易などで独自の流通が発達したと思われます。

 

上記のエレクトラム金貨は上半身は鷲、下半身はライオンとなる古代ギリシア神話のグリフォンが刻まれています。他にもミュシアのコインにはアテネなどが登場し、次の古代ギリシア時代の足がかりとなるエレクトラム金貨だといえます。

 

価格相場:鑑定付きで状態のよいものは100万円以上の値がつきます。劣化がひどいものは数万円程度。MSクラスになると数百万円で売買されています。

 

ミュシアのエレクトラム金貨は製造期間が短いため、入手が難しく高い値がつきやすいのが特徴です。

 

まとめ

リディア王国をはじめとする古代エレクトラム金貨は、古いだけに劣化がひどく安値で売買されるコインも存在しますが、グレードが高いものは数百万~1,000万円以上の値がつくこともあります。

 

古代の金貨は現存するコインの数が極めて少ないため、年月とともに希少価値はますます高くなる傾向にあります。今後の値上がりを期待してコインを選ぶなら、古代エレクトラム金貨はぜひ購入しておきたい1枚だといえるでしょう。


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タグ: 古代コイン

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