ソブリン金貨(Sovereign)とは?ヘンリー7世からエリザベス2世までの変遷・歴史

2021/2/17|著者: アンティークコインタイムズ編集部

ソブリン金貨はアンティークコインを代表する英国コインの1つ。アンティークコインを調べているとソブリン金貨がよく登場しますよね。「そもそもソブリン金貨って何なの?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。

 

ソブリン金貨のソブリンとは、英語の君主を意味するSovereignのことで、ソブリン金貨とは簡単にいうと英国の君主が刻まれた金貨のことです。

 

今回はソブリン金貨とはどのようなコインなのかを詳しく解説していきます。ソブリン金貨の由来や歴史などもご紹介していきますので、ぜひ最後までお付き合い下さい。

 

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ソブリン金貨(Sovereign)とは

ソブリン金貨は、Sovereign coin(ソブリンコイン)とも呼ばれている金貨のことで、15世紀後半から英国にて発行されるようになった金貨のことをいいます。現在の1ソブリンは1ポンド相当にあたります。

 

ソブリン金貨は現在でも定期的に発行されていて、コインコレクターを始め、金投資や資産運用の一環として購入されています。まずは、英国ソブリン金貨の誕生、ソブリン金貨と呼ばれるようになった由来を解説していきます。

 

ソブリン(Sovereign)の由来

英国にて君主(Sovereign)がコインに刻まれるようになったのは、1489年のヘンリー7世の時代。貨幣史的に見ると非常に画期的な出来事でした。古代ギリシャ~古代ローマ時代あたりまでは君主がコインに刻まれることはありましたが、中世以降は宗教的な風潮から君主をダイレクトに刻むことはタブーに等しかったからです。

 

ヘンリー7世のソブリン金貨が登場する以前は、君主や国を象徴する図柄や聖書に登場する人物や宗教のテーマ・象徴などが使われるのが一般的でした。

 

時代はルネサンス時代へと突入し、1489年にヘンリー7世のコインが天使の図柄にとってかわったのです。以来、君主が刻まれたソブリン金貨が発行されるようになり、かつてのコインと区別するため英国にてソブリン金貨と呼ばれるようになったのです。

 

参照:History of Sovereign Coins | Royal Mint

 

初期ソブリン金貨の変遷・歴史

ソブリン金貨は1489年に初めて発行されてから、一旦1604年に終了となりました。それから約200年後の1817年に新たなソブリン金貨が登場します。数百年の歴史を持つソブリン金貨は、実に多種多様なコインがあります。

 

まずは、1489年に英国にてソブリン金貨が登場してから、一旦1604年にソブリン金貨が終了するまでの歴史を見ていきましょう。

 

最初期のソブリン金貨-ヘンリー7世

最初のソブリン金貨は1489年。ヘンリー7世(1485~1509年)の時代です。ヘンリー7世は、チューダー朝の創始者、エリザベス1世の祖父にあたる人物です。約30年続いたバラ戦争に終止符をうった人物でもあります。

 

1489年~1509年にかけて上記の図柄のソブリン金貨が発行されました。表面は王の象徴である宝玉と勺杖を持ち、王冠をかぶり王座に座ったヘンリー7世、裏面はヘンリー7世の家紋であるチューダーローズの紋章と中央にロイヤルシールドが描かれています。中世ゴシックの名残りが強い装飾が印象的なコインです。

 

当時の1ソブリンは20シリング=1ポンド。オークションサイトのBALDWIN’Sによると2013年のオークションでは上記写真のクオリティにて約170万円で落札されています。

 

参照:BALDWIN’S

 

ヘンリー8世時代のソブリン金貨

 

ヘンリー7世に次いで、2代目のチューダー朝の君主はヘンリー7世の次男、ヘンリー8世(1526~1544年)です。ヘンリー8世はローマカトリック教会から脱退し、プロテスタントとして英国独自のイングランド教会を設立した人物です。。

 

ヘンリー8世は確かにルネサンス精神に満ちた人物だったのですが、実は、カトリック脱退したのは離婚できないことが理由でした。離婚後に、2番目の妻アン・ブーリンと結婚。ヘンリー8世は、6人の妻を持ったことでも有名な英国歴代君主です。

 

ヘンリー8世のソブリン金貨はヘンリー7世とほぼ同じ図柄が採用されています。ゴシック調を残したソブリン金貨です。当時の1ソブリンは22シリング6ペンス=1ポンド。BALDWIN’Sでは、2013年に上記写真のクオリティにて約140万円で落札されています。



エリザベス1世女王時代のソブリン金貨

 

次にご紹介するのは、エリザベス1世(1584~1603年)のソブリン金貨です。エリザベス1世の父はヘンリー8世、母は2番目の妻アン・ブーリンです。エリザベス1世はスペインの無敵艦隊を破り女性君主としての手腕を世界に示しました。アメリカなど未開拓国の開発を行ったり、宗教に依存しない政治を執るなど近代国家の基盤を作り上げた偉大な人物です。

 

上記のように、エリザベス2世のソブリン金貨もヘンリー7世とほとんど同じ図柄となっています。表面の中央のエリザベス2世の様相が女性的になっているのと、裏面のチューダーローズの装飾に華やかさが加えられているのが特徴です。

 

当時の1ソブリンは30シリング=1ポンド。エリザベス2世のソブリン金貨はとくに金の含有率が99.995%と高く、オークションサイトBALDWIN'Sでは2008年の時点ですでに約350万円で値がついています。

 

参照:BALDWIN’S

 

1604年で初期のソブリン金貨は終了

エリザベス1世が崩御した後、跡継ぎがいなかったため、エリザベス2世の従甥であったスコットランド王のジェームス6世に王位が継承されます。

 

ジェームス6世はスコットランドと英国を統合しGreat Bretain(グレート・ブリテイン)王国を設立。ジェームス1世として即位しました。統合にともなうスコットランドと英国の合同法によって、英国の通貨が発行終了となり、ソブリン金貨も1604年に終了となりました。

 

参照:History of the Sovereign|Royal Mint

 

1817年に現在のソブリン金貨が誕生

1604年に終了したソブリン金貨は、1817年に現在のソブリン金貨の原型となる新しいタイプの金貨として誕生しました。

 

新しいソブリン金貨の特徴やどんな金貨があるのかを見ていきましょう。

 

新しいソブリン金貨の特徴

 

新しいタイプのソブリン金貨が誕生したのは、1817年ジョージ3世(1738~1820)の時代です。1816年から開始された大規模な貨幣制度の改革の流れから、ジョージ3世はかつて発行されていたソブリン金貨を再び復活させることにしました。

 

上記は1818年のジョージ3世のソブリン金貨です。このソブリン金貨にて、現在のソブリン金貨の代名詞ともいえるベネデット・ピストルッチの「STジョージ&ドラゴン」が初めて登場します。以来、ソブリン金貨の裏面のデザインは「STジョージ&ドラゴン」が定番となります。

 

新しいソブリン金貨の特徴は、

  • 初期のソブリン金貨の半分ぐらいのサイズになった
  • 当時は99.99%の24金から99.916%の22金に代わった
  • ハンマー打ちではなく機械打ちになった
  • 特殊加工のプルーフ金貨が登場した
  • ハーフソブリンや5ソブリンなどバリエーションが増えた

などです。

 

参照:Gold Sovereign George 3rd | CHARDSジョージ3世ソブリン金貨|Antique Coins Galleria



ヴィクトリア女王のソブリン金貨

 

数々のソブリン金貨の中でも、特筆すべきソブリン金貨はヴィクトリア女王の金貨です。ヴィクトリア女王以前のソブリン金貨は主に流通貨幣としての役割が大きかったのですが、ヴィクトリア女王の時代からソブリン金貨は次第に記念コインの性質を帯びるようになっていきます。

 

ヴィクトリア女王(1837~1901年)はエリザベス2世の高祖母にあたる人物で、当時巨大な領土を拡大していた大英帝国の象徴でもあります。在位期間が長ったこともあり、ヤングヘッド、ジュビリーヘッド、オールドヘッドと3つの肖像が刻まれた実に豊富な種類のコインが発行されています。英国だけでなくの各領土国でも発行され、世界的な規模でヴィクトリア女王のコインが人気を集めました。ヴィクトリア女王はアンティークコインの王道ともいえる至高のテーマです。

 

上記のコインは1900年に発行されたソブリン金貨です。年代・グレードによって価格にはばらつきがあり10万円~20万円程度のものもあれば、100万円以上の値がつくコインもあります。

 

参照:ヴィクトリア女王1900年ソブリン金貨|Antique Coin GalleriaThe Many Effigies of Queen Victoria | Royal Mint



エリザベス2世のソブリン金貨

 

完全に記念硬貨としての役割を持つようになったソブリン金貨がエリザベス2世(1953年~現在)の金貨です。エリザベス2世時代のソブリン金貨は投資家やコレクター向けに流通用とは別でオリジナルケースや証明書付きで発行されるようになりました。

 

在位期間が史上最長記録を更新したエリザベス2世のソブリン金貨はそれこそ、簡単には収集しきれない程の数に及びます。美しい肖像が刻まれたエリザベス2世のコインもアンティークコインでは非常に人気が高いテーマです。

 

日本でも知らない人はほとんどいないように、誰でも知っている人物のコインであるため、売買しやすいことが大きなメリットです。まだ年月がそんなに経っていないため、比較的に未使用コインが入手しやく、安価なものも多いため初心者にもおすすめです。

 

上記は1980年のソブリン金貨の完全未使用でオリジナルケース付きでも10万円程度で購入できます。年代・グレードによって数百万円の値がつくものもあり価格は大きく異なります。

 

参照:エリザベス2世1980ソブリン金貨Queen Elizabeth II Sovereign | Royal Mint



ソブリン金貨について知ろう

英国のソブリン金貨は英国コインの中でも人気のテーマで、かつ素材には24Kや22Kが使われているため、手堅い選択肢の1つです。とくに近年では、英国ソブリン金貨は金投資や資産運用の一環として注目されています。

 

長い期間に渡って発行されているソブリン金貨は、実に多彩な種類があり、君主それぞれにまるわる逸話も魅力の1つです。シリーズとして歴代君主のソブリン金貨を収集するコレクターも多いようです。ぜひ、この機会にソブリン金貨や歴代君主にまつわる英国の世界をちょっとのぞいてみませんか?

 

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タグ: その他コイン, 専門用語

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