アンティークコインの価格相場は?価格の決まり方・相場を知る方法を解説!

アンティークコインとは、今から100年以上前のコインのことをいいます。価格は1万円以下のものもあれば、数千万円以上の高額で取引されているものもあります。古物商をお持ちの方でも、いざアンティークコインを取り扱うときに、どれくらいの買取価格や販売価格なら妥当なのか、戸惑う方は多いのではないでしょうか。一体、アンティークコインの価格はどのように決まるのでしょうか?

アンティークコイン投資の特徴

米国や欧州で以前から行われているアンティークコイン投資ですが、日本でも近年になってアンティークコインに注目する人達が増えてきているようです。

アンティークコインは値下がりしにくい投資と言われていますが、そもそもアンティークコイン投資とはどのような投資なのか最初にご紹介しておきましょう。

貴金属の安定性

アンティークコインの大きな特徴は、貴金属投資の一環として考えられていることです。アンティークコインの多くが純金や銀、プラチナなどの高価な貴金属が使われています。貴金属は世界中どこへ行っても売買できるうえ、金融市場の影響を受けにくく安全だと見なされています。

古代から価値あるものとの認識が高い貴金属で製造されたアンティークコインは、経済の低迷時でも価値がなくなることがない安定した金融商品なのです。

美術品としての希少性

アンティークコインのもう1つの特徴は、貴金属の価値だけでなく美術品としての価値も合わせ持っていることです。

美しい古い絵画や彫刻、デザインに優れたジュエリーなどは年月が経つごとに価値が上昇する傾向にあります。美術的価値が高いもの、入手が困難なものほど、年月とともに破格の値段をつけていくのです。アンティークコインは美術品としても、価格が一気に跳ね上がることが期待できるのです。

 

アンティークコインの価格相場が決まる4つのポイント 

アンティークコインは貴金属の安定性と、年月が経つほどに希少価値が高くなる手堅い投資方法として注目されています。

自分の選んだコインが数年後に2倍、3倍、10倍の値がついたら嬉しいですよね。ぜひこの機会に一枚購入しておきたいものですが、いざ購入や売却を考えた時に戸惑いがちなのが価格相場です。

そこで、アンティークコインの価格が決まる要素をポイントを抑えてわかりやすく解説します。

1,希少価値・年代・人気度

 コインの価格を大きく左右するのが、希少価値です。50年前、100年前、紀元前と古いコインほど入手が難しくなります。また、発行数が限られている年代の貨幣は、同じデザインのコインでも取引価格が上がります。君主の戴冠記念など、歴史的に重要な出来事があった年代は人気が集まりやすく値が上がりやすいといえます。

2,コインの素材

アンティークコインは金貨や銀貨、銅貨やニッケル貨など様々な素材で発行されています。一番人気のアンティークコインは「大型金貨」です。しかし、一円玉ほどの大きさの銀貨が数百万円になることもあります。コインの地金の素材によって価値が決まるというよりも、希少性と人気度によってコインの価値は決められます。地金価値とは比例しないということを忘れず、どのコインの銘柄が人気なのか見極めることが必要です。

3,コインのグレード(状態評価)

劣化や摩耗がひどく、コインに刻まれている刻印がほとんど識別できないものは、価格がかなり低くなります。古いコインでも、刻印がしっかり残っているものは高値で取引されます。同じコインでも、コインの状態により数百万円の価格差が出てしまうこともあります。

アンティークコインのグレードは状態が良いものから以下のように表記されています。

 国内基準/海外基準 コインの状態
完全未使用品/MS70 全く新品の状態、最高のグレード
未使用品/MS67,68,69 かすかなダメージがある
準未使用品/MS65,66 傷やスレがあるがほぼ新品に近い
極美品/EF・Extremely Fine 使用感があるが美しい状態
美品/VG・Very Good 数字・文字、図柄が鮮明に残っている
並品/F・Fine 目立つ傷やスレがある
劣品/P・Poor ほとんど形状が残っていない状態

 

グレードが高くなるほど高い値がつき、グレードが下がるにつれて価格はどんどん安くなっていきます。グレーディングの仕方は次に紹介する鑑定機関ごとにやや異なりますので、各機関の公式サイトをご確認ください。

4,第三者鑑定機関による鑑定済みコイン 

1980年代にアメリカでコインの第三者鑑定機関が誕生しました。PCGS社とNGC社は、世界の貨幣の真贋の鑑定と70段階でのグレーディング(等級付け)を行っています。「70」に近いグレードのものは高値で取引されています。コイン初心者でも鑑定のグレードを見れば安心して購入できるため、コインの価値を決める重要なポイントになっています。

証明書や鑑定書がない個人売買の場合は価格が安くなる傾向にあり、妥当な値段ではない場合もあるので、十分に注意する必要があります。

 

アンティークコインの価格相場の参考例 

全く同じコインでも、希少価値や年代、グレードや証明書の有無によって売買価格に大きな差が出てきます。安いからといって安易に購入しても、値上がりがあまり期待できないコインもあります。

最後に同じコインでも価格相場が大きく異なる例をご紹介しておきましょう。

古代ギリシャのコイン(テトラドラクマ銀貨:アテナとフクロウ)

テトラドラクマ銀貨

紀元前のコインは古いほど価格が高くなるのはもちろんですが、とくにギリシャ・アテネなど知名度が高い地域のコインに人気が集まります。

上記の古代ギリシャのコインは紀元前500年頃のアテネで普及したテトラドラクマ銀貨です。女神アテネとフクロウの図柄は有名なテーマで、通常はオリーブの冠をかぶっていて美品のグレード/認定書付きで価格相場は50万〜100万円程度です。

上記のように戦闘ヘルメットのアテネは非常に希少価値が高く極微品のグレードにて300〜500万円以上はします。古代ギリシャのコインでも人気がないテーマやグレードが低いコイン、鑑定書なしのコインなどは数万円程度で売買されているものもあります。

ヴィクトリア女王ジュビリーヘッド金貨

ジュビリーヘッド金貨

上記はアンティークコインでも人気が高い、クイーンヴィクトリア1887年の2ポンド金貨です。即位50周年を記念したジュビリー金貨で6年間に渡って発行されました。PCGSの鑑定証明つきで、グレードMS64、純金15.98gの場合で価格は約100万円前後です。

まず、このジュビリー金貨は製造期間が6年間に限られていることで比較的高い値がつきます。とくに1877年は発行数が100万枚程度と他の年代にくらべ非常に少ないことで値上がりしやすい傾向にあります。グレードがMS65、5ポンド金貨になると価格は3倍ぐらいします。

一方、同じグレードでも1889〜1892年は発行数700万枚を超えるため価格は半額近く落ちます。仮に、1887年のものでもダメージがひどい劣化品は10万円以下でも購入できる場合もあります。

クイーンエリザベス2世 ブリタニア銀貨

ブリタニア銀貨

最近のコインで短い期間でも価格が値上がりしやすいのが、エリザベス2世の発行数が少ないコインです。上記はブリタニア銀貨の1999年の2ポンド銀貨で、1999年限定デザインで発行されたもので希少価値が高いコインです。

20年経った今では、未使用品の最高グレードMS70のコインで60万円以上に跳ね上がっています。これにオリジナルのケースやRoyal Mintの証明書がつけば軽く100万円は超えるほどの人気です。

その他多くのブリタニア銀貨は、1997年〜2020年のもので高くても2〜3万円程度です。使用品になると数千円で購入できるものも多いです。

 

 アンティークコインの価格相場の調べ方

アンティークコインの価格相場はコインの鑑定会社である「PCGS社」や「NGC社」のサイトで、スラブケース(鑑定済みのコインが封入されているプラスチックケースのこと)に書いてある証明書番号を入力すると価格相場や価格推移などを調べることができます。その他にも、コインを扱う大手オークション会社の落札結果を知ることにより、コインの平均的な価格を確認することができます。

PCGS社のサイトでコイン価格相場を調べる方法

PCGS社のサイトでコインの価格相場を調べるにはPCGS社の証明書番号が必要になります。

証明書番号とはPCGSによって鑑定が行われた製品に付属する番号です。

そのためコインを購入していなくても、コインの証明書番号を確認できれば価格相場やオークションでの取引履歴などを確認することができます。

PCGS社のサイトはこちら(外部サイトへ遷移します)

→「PCGS

鑑定番号

引用:「PCGS ASIA

PCGS社のサイトで証明書番号を検索すると以下のような画面が表示されます。

PCGSの鑑定番号検索結果

引用:「PCGS ASIA

さらに、上記の画像内のコイン下にある「View value infomation for coin」をクリックするとオークション情報やコインの製造枚数などを確認数rことができます。

PCGS検索結果詳細

引用:「PCGS ASIA

NGC社のサイトでコイン価格相場を調べる方法

NGC社のサイトからコインの価格相場を調べるにはコインに記載されている10桁の数字(ハイフンが間に入る)とコインの状態を表す1〜70までの数字が必要になります。

下記の写真ではコインの番号が「1850079-001」、状態を表す数字が「67」になります。

NGC鑑定番号

引用:「NGC

実際に検索すると以下のような画面が表示され、コインの写真や簡単な情報を確認することができます。

さらに、「View」の文字をクリックすると、コインの価格やより詳細な情報を確認できます。

NGC鑑定番号検索結果

引用:「NGC

NGC価格ガイド

引用:「NGC


アンティークコインの価格推移

投資としてのアンティークコインの安定性と価格上昇の可能性をグラフや表で見てみましょう。

 

[アンティークコインの取引価格の推移]

Collectible Investment Indices

数百年にわたるアンティークコイン価格推移を網羅したデータはありませんが、イギリスの「GB200 Rare Coin Index」(英コインの中で価値の高い200銘柄の過去20念の価格推移を指標化)が参考になります。

図を見ると、アンティークコインの価格は2008年のリーマンショックでも下落していないことがわかります。むしろ、より価格を上げて推移しています。 

[金の取引価格の推移]

金の取引価格の推移

上記は金1gあたりの米国における取引価格の統計です。変動が激しい時期もありますが、2000年代に入ってからは順調に右肩上がりで推移しているのがわかります。

[インフレーションとの相関性]

インフレとコインの関係

コイン・その他の金融資産とインフレーションの関係は上記のようになり、Stocks(株式)、Treasury Bonds(債券)、Gold(金)と比較した時に、物価の上昇に合わせてコインの価格は最も上昇しています。

 

[アメリカンウォーキングリバティの価格推移]

 ウォーキングリバティ金貨

上記のチャートはアメリカンウォーキングリバティ金貨(1oz/50ドル)金貨の売買価格の推移です。わずか5年間程度でも価格は1,000ドルから約1,800ドルに上昇しています。ウォーキングリバティの価格推移

1925年に販売されたウォーキングリバティ―金貨で未使用品のものだと、10,000ドル以上の値がつく場合もあります。

[リバティコイン・ハーフセントの価格推移]

リバティ・ハーフセント

リバティ・ハーフセントの価格推移

1790年代に発行された米国のリバティコインのハーフセント(日本円で5銭通貨)は、2000年代には56,000ドル(560万円)に値上がりし、その後2016年以降は2倍の120,000ドル(1,200万円)の高値をつけています。

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