リディア金貨とは?世界で初の金貨とリディア王国の歴史

2020/9/25|著者: アンティークコインタイムズ編集部

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▲17世紀のフランスの画家クロード・ヴィニョンが描くリディアの王クロイソス

 

アンティークコインというカテゴリーの中で、世界最古といわれているのがリディア金貨です。リディアと聞いてもわからないのが当然、よほど世界史に精通したかたでなければその名にピンとくることはないでしょう。紀元前において現在のトルコに栄えた王国で鋳造されたリディア金貨、そのコインをめぐる逸話や歴史をご紹介いたします。

 

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リディア王国とは?

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▲リディア王国が勢力を誇ったイオニア海

リディア金貨について確認する前に、世界初のコインを作った王国についてみていきましょう。リディア王国が存在したのは、紀元前1200年から546年とされています。場所は、現在のトルコ。小アジアと呼ばれるアナトリア半島を中心イオニア海の都市にも影響を持っていました。首都は、現在のマニサ県にあったサルディスという都市です。

 

リディア王国は「地理」的に恵まれていた

世界最古の金貨「リディア金貨」を生み出したといわれるリディア王国は、地理的に非常に恵まれた場所にあったことが知られています。王国内を流れるメンデレス川沿岸や河口には、河川によって運ばれた堆積物によって肥沃な土地が広がっていました。灌漑の技術も有していたリディア王国は、まず農業において豊かな国家を築くことに成功しました。

 

エーゲ海を見下ろす商業上の要衝

首都サルディス以外にも富裕な都市を有していたリディア王国は、さらにエーゲ海における有力な都市をギリシアから奪還することに成功します。これによって、商業上の要衝がリディア王国の支配下に置かれるようになったのです。

とくに、リディア金貨を生み出したクロイソス王の時代には、イオニア海における制海権をギリシアと争い、ミレトスを除くイオニアの都市のほとんどがリディア王国の勢力圏に入りました。こうしてリディア王国は、経済的にも文化的にも大いに栄えることになったのです。

 

歴史家ヘロドトスも認めたリディアのコイン

古代ギリシアの歴史家ヘロドトスは、古代のギリシアは民主制やオリンピックなど現代まで続く概念を生み出し伝承したほか、幾何学、天文学などのサイエンスの分野でも大きな役割を果たしたことを記しています。

そして、ギリシアがアジア最先端の王国から受け継いだものとして明記されているのが、コインの伝統であったのです。この国こそが、リディアというわけですね。

また、いわゆる定位置に構える店という概念も、リディアで生まれたといわれています。それまでは、定期的あるいは不定期に行われる市場や行商が商売のありかたでした。コインと店舗の設立という近代的なコンセプトは、リディアで誕生したのです。

 

リディア金貨とは?

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▲リディア王国について記述を残した歴史家ヘロドトスの肖像

リディア金貨とは、リディア王国で作られた世界最古のコインです。別名「エレクトロン貨」とも呼ばれています。

リディア金貨がエレクトロン貨と呼ばれるのは、金と銀が配合されたコインの材料となった鉱物に由来します。パクトロス川で採取されるこの金属は、金と銀が混ざり淡黄色をしていました。これが琥珀を思わせることから、ギリシア語でそれを意味する「エレクトラム」と呼ばれるようになったのです。現在も、エレクトロン貨といえばリディアのコインを指すのが常識になっています。

 

リディア金貨誕生

商業で栄えたリディア王国が、貴重な金属を使用してコインを鋳造し始めたのは紀元前640年頃とされています。実は正確に最初の硬貨が鋳造されたのかは、学者たちのあいだでも意見が分かれています。

リディアの首都サルディスにはパクトロス川が流れていました。この河川から採取される天然の金属が、コインの材料となったのです。鋳造の技術はまだまだ未熟であったために、真円とはいえません。おそらく、ハンマーなどでプレスした金属に動物などを刻印するという原始的な鋳造法であったことでしょう。そのため、わずかに凹凸の形状を呈しています。

しかし、コインという概念が生まれたことは歴史における大きな分岐点であったといえます。

 

リディア金貨誕生にまつわる伝説

通常、リディアのコインはパクトロス川で採取された砂金の塊に動物が刻印されています。

ギリシア神話によれば、ミダスという王は触れるものをきんに代える力があったといわれ、リディア金貨もこのミダス王が川の土砂に触れてエレクトロンを生み出したことから鋳造されたともいわれているのです。

それはもちろん、リディアの王たちの権威を表象するものであったことはいうまでもありません。

 

リディア金貨のデザイン

リディア金貨にはさまざまな動物や事象が刻まれていますが、とくに有名なのは咆哮するライオンの意匠です。これは、リディアの王たちのシンボルとされていました。そのため、リディア金貨というとまず、この荒ぶるライオンの姿があげられるというわけです。

 

リディア金貨の歴史

リディア王国が栄えた時代は、古代のギリシアも大いに交流していた時期と重なります。リディア効果にまつわる古代のエピソードも残っています。

ギリシア世界の通貨は銀が多かった

リディア王国最後の王クロイソスの時代になると、コイン鋳造の技術はかなり進みました。金と銀を分離し、純度の高い金貨や銀貨が流通していたことがわかっています。ちなみに、銅貨の登場はこの後2世紀を待たなくてはなりません。

リディア王国と時代を同じくする古代のギリシアではおもに銀貨が主流であったために、リディア王国の金貨は特に珍重されていました。ギリシアでは、主要な鉱物が銀であったという事情もあったようです。

リディア王国最後の王クロイソスとリディア金貨の関係

リディア王国は、ペルシアに攻められて紀元前547年に滅亡します。その最後の王であったのは、クロイソスという王でした。彼はとくに金貨にこだわった王として知られています。

それは、クロイソスという名前そのものがギリシア語の「金」の概念に由来していたためでした。金貨を鋳造したクロイソスは、現代のヨーロッパでは億万長者の代名詞としてその名を残しています。

ヘロドトスが書き残したクロイソスの像

いっぽう、歴史家ヘロドトスは富に恵まれたクロイソス王の姿をこのように書き残しています。

ある日、アテネから賢人といわれるソロンがリディアに招かれました。ソロンはクロイソスに、「この世界で最も幸せなのは誰か」と尋ねるのです。クロイソスはもちろん、富を有している自分自身こそが最大の幸福者であると答えます。

ところが賢人ソロンは、人間の人生とはすべてが偶然であり、最後まで幸か不幸かはわからないと答えるのです。クロイソスはこの言葉に満足せず、ソロンをリディアから追い出してしまういます。ところが、実際にはそのクロイソス自身がペルシア戦役に敗れるという最後を迎えてしまうわけです。

リディアの金貨ひとつを手にしても、こうした古代の英雄や賢人たちの叡智がつまっていて興味深いですね。

 

最後に

現在ではほとんど知られていない古代の王国を起源とする金貨。リディア金貨は、その王国の名を冠した世界最古のコインといわれています。

2700年前に存在したリディア金貨は、当時の流通における概念を大きく変えただけではなく、当時のリディア王国の繁栄を私たちに伝えてくれます。古代へのロマンを喚起させてくれるリディア金貨、投資の面から見てもその価値は無限といったところでしょうか。

 

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タグ: 古代の歴史

アンティークコインタイムズ編集部

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