コイン・プロファイル:アメリカ合衆国1911-Dリンカーン・セント

2020/7/30|著者: アンティークコインタイムズ編集部

リンカーン・セント

us-coins-coin-profiles-coin-profile-united-states-1911-d-lincoln-cent-01

リンカーン・セントは、アメリカで最も長く使用されてきたコインです。アブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)の誕生100周年を記念して、1909年に流通が開始されました。リンカーン・セントのエレガントな彫刻デザインは、アメリカのコインアート界の先駆けとなり、新たな流行をもたらしました。

 

アメリカのコインデザインにおける黄金時代は、メダル作家であり彫刻家でもあるアウグストゥス・サン・ゴーデン(Augustus Saint-Gaudens)と最も関係が深いと言われていますが、現在流通しているものはリトアニア系ユダヤ人であるアメリカ人彫刻家ビクター・デイビッド・ブレナー(Victor David Brenner)による20世紀初頭の作品です。

 

通貨単位は1セントと小さいものの、リンカーン・セントは何百人もの人々をコイン収集の趣味に駆り立て、新しいコレクターとしての礎石とも言えるシリーズであり続けています。

 

他のコインシリーズ同様、リンカーン・セントの収集はコレクターの趣向により単純とも複雑とも言えます。リンカーン・セントシリーズを簡略化すると、以下の5つの主要なタイプに分類されます。

  1. 1909〜1958年の「ウィート(Wheat)」セント。
  2. 1959〜1982年の「メモリアル(Memorial)」セント。
  3. 1983〜2008年の「ジンカン(Zincoln)」セント。
  4. 2009年のリンカーン生誕200周年の4つの記念リバース(裏面)デザイン。
  5. 2010年から現在までの「シールド(Shield)」リバース(裏面)。

多くの人にとっては、日付とミントマーク(コインが製作された造幣局がわかるマーク)をもとにしたリンカーン・コインの収集で十分でしょう。ペニーボードとコインアルバムは、完全なコレクションであることを伝える方法として長い間人気を誇っています。

 

単に日付とミントマークごとの収集をするよりも、さらに深く掘り下げたいというコレクターは、より難易度の高い収集方法も検討できます。多様性を重視するコレクターは、二度打ちされたダブル・ダイのコインや、打ち直されたミントマークを持つコイン、ミントマークのエラーがあるコインなどを収集してもいいでしょう。品質を重視するコレクターであれば、アメリカで最も長く続くコインシリーズの高いグレードでの完成を目指すこともできます。これら2つの収集方法に挑戦する場合には、最新の市場情報を入手し、信頼性や希少性について質問できる専門家に協力してもらうのが良いでしょう。

 

us-coins-coin-profiles-coin-profile-united-states-1911-d-lincoln-cent-02

2つのPCGS MS67RD 1911-D リンカーン・セントのうちの1つ。ESMコレクションからのこのコインは、2020年3月に開催されたStack’s Bowersオークションで、42,000ドルで販売されました。画像:PCGS。

 

1911-Dセントについて

1911-Dセントは、デンバー・ミント(Denver Mint)で最初に鋳造された、マイナーコインです。フィラデルフィア・ミント(Philadelphia Mint)で打たれた鋳型で、最初のものは1911年の5月20日に生産されました。その年の年末までに、デンバー・ミントで12,672,000個の1セント硬貨が生産されました。これは、サンフランシスコ・ミント(San Francisco Mint)の生産量のほぼ3倍ですが、セントの大部分はフィラデルフィアで大量生産されていました。

 

1911-Dセントについては、はじめに次の事項を知っておくべきです。リンカーン・セントのガイドブック(A Guide Book of Lincoln Cents: Bowers Series 9)の中で、著者であるQ・デビット・バウアーズ(Q. David Bowers)は「コレクター間では馴染みのない洞察かもしれませんが、ミント・ステート(Mint State:流通しなかった新品同様の状態)のコインは希少価値が高いのです」と述べています。大きい造幣局による流通したコインを入手するのはそれほど難しいことではないことは明らかです。

 

デンバーで生産された1911年のリンカーン・セントのほとんどは弱く打たれたため、強く打たれたフルレッドのミント・ステートのコインはかなり希少なものです。PCGSによると、合計261個のセントがMS-65 RDかそれ以上のグレードであり、最高グレード(Top-pop)であるMS-67のものが2個存在すると報告されています。MS-65かそれ以上のグレードのBNおよびRBコインの数は実際には少ないですが、1911-Dセントがコレクターの中で人気のコインであることを示しています。

 

NGCによると、32個のコインのみがMS-65 RDかそれ以上のグレードであり、最高グレード(Top-pop)であるMS-67は1個存在すると報告されています。PCGSにリストされているものよりも数が少ないですが、同様に人気であることがわかります。

 

PCGS認定のフルレッド1911-Dセントの近年の販売価格は、MS-65で平均約750ドル、MS-66で約1,200ドルです。最高グレード(Top-pop)は、2020年の3月に42,000ドルで販売され、その他のMS-67コインは2018年9月に61,688ドルで販売されました。

 

昨今のフルレッド・ハイミント・ステートのNGC認定のコイン価格はとても興味深いものとなっています。MS-66のNGC認定コインは約3,000ドルで販売されており、PCGS認定のMS-66のおよそ2倍の金額となっていますが、MS-65はPCGSと同等の金額を示しています。2020年6月の時点では、NGC MS-67 RD 1911-D リンカーン・セントのオークション記録はありません。

 

デザイン

表面:

1911-Dリンカーン・セントの表側は、アブラハム・リンカーン大統領の右向きの胸像が描かれていることが特徴です。1911年の日付はリンカーンの右側に記載され、大統領の上には「神を信じる(IN GOD WE TRUST)という標語が記されています。日付の下には、デンバー・ミントのミントマークである「D」の文字が、第16代大統領の左側には、「LIBERTY」の言葉が記されています。

 

裏面:

1911-Dセントの裏側

ブレンナー(Brenner)の「ウィート(Wheat)・セント」の裏側です。コインの左右には小麦のさやが2つ描かれています。デザインの最上部は「E・PLURIBUS・UNUM」の標語とともに縁取りされており、ONE CENTの文字はサンセリフ体の大きな文字で表記されています。文字Eの下アームは上アームの長さを超えており、中央のアームは短く引っ込んでいます。下部には、同じフォントで「UNITED STATES OF AMERICA」と記されています。

 

us-coins-coin-profiles-coin-profile-united-states-1911-d-lincoln-cent-03

1911-Dセント リバース(裏面)。コイン:ESMコレクション(PCGS MS67RD)。画像:PCGS。

 

縁:

1911-Dリンカーン・セントの縁は、プレーンで滑らかです。

 

デザイナー:

リトアニア生まれのコインデザイナーであるビクター・デイビッド・ブレナー(Victor David Brenner)は、1909年から現在までのリンカーン・セントの象徴的なデザインでよく知られています。(デザイナーのプロフィールを見る)

 

コイン仕様:

  • 国: アメリカ合衆国
  • 発行年: 1911年
  • 通貨単位: 1セント
  • ミントマーク: D(デンバー)
  • 生産量: 12,672,000
  • 合金: 95%銅、5%錫および亜鉛
  • 重さ: 3.11 g
  • 直径: 19.00 mm
  • エッジ: プレーン
  • OBVデザイナー: ビクター・デイビッド・ブレナー(Victor David Brenner)
  • REVデザイナー: ビクター・デイビッド・ブレナー(Victor David Brenner)
  • 品質: ビジネスストライク

 

アンティークコインメルマガ

 

本記事は、『COINWEEK』の翻訳記事です(掲載許可有り)。元記事は以下のリンクより確認できます。

参考:https://coinweek.com/coins/coin-profiles/us-coins-coin-profiles/coin-profile-united-states-1911-d-lincoln-cent/

 

タグ: アメリカコイン

アンティークコインタイムズ編集部

著者:アンティークコインタイムズ編集部

アンティークコインタイムズ編集部は、アンティークコイン投資をはじめ、世界のあらゆるアンティークコインの歴史やストーリー等を中心に発信しています。アンティークコインの価値や楽しさをより多くの人に伝えられるように、日々良質なコンテンツを作成しています。