アンティークコインで資産運用?貴金属投資に世界のアンティークコインがおすすめな理由

 

資産運用・資産形成として貴金属投資をお考えなら、アンティークコインも選択肢の1つです。

 

アンティークコインは貴金属の価値に加え、美術品としての価値が加わります。貴金属として安定性が高いだけでなく、年月が経つほどに価格が上がりやすいという美術の特徴をも合わせ持っています。

 

リーマンショックや新型コロナウイルスなど、経済が急激に落ち込みがちな時でも、価値を失わないアンティークコインは実に手堅い投資・資産運用の1つなのです。今回はアンティークコインとはどのような投資方法になるのか、基礎知識をわかりやすく解説していきます。

 

そもそもアンティークコインとは?

アンティークコインとは、簡単にいえば古い西洋のコインのことです。アンティークコインはただ単に古いだけではなく、美術的価値が高い古い西洋のコインのことを指しています。

 

アンティークコインの概要

イタリア・ギリシャなどのヨーロッパ諸国、英国やアフリカなどヨーロッパ周辺の国々は紀元前からの古い絵画・彫刻の歴史を有しています。他国に比べて美術的に優れた数々の傑作を生み出している地域です。

 

西洋では絵画や彫刻のように、コインにも古くから美しいデザインが刻み込まれてきました。これらの美術的価値が高い古いコインのことを総称してアンティークコインと呼んでいます。

 

投資・資産運用としての特徴

美術品としての価値を持つアンティークコインですが、昔のコインは現代のコインとは異なり、本物の金や銀など価値が高い貴金属が使われています。古いコインの中にはほぼ100%金や銀で造幣されたコインが数多くあります。

 

つまり、アンティークコインは貴金属としての価値と美術品としての価値、両方を兼ね備えた金融商品だといえるのです。

 

歴史的に名高い絵画や彫刻、現物の金やプラチナ、ジュエリーを購入するように、アンティークコインも投資や資産運用の一環として考えられているのです。



アンティークコインの歴史は紀元前にさかのぼる!

最古のコインは通貨や貴金属の歴史とともに紀元前にまでさかのぼります。

 

世界で最初に通貨らしきものが出現したのは、ブリタニカによると紀元前4000年頃の古代エジプトだといわれています。青銅やブロンズ、金、銀などの貴金属を棒型にしたものを、必要な分だけ輪切りにして物々交換に使われたのが始まりとされています。

 

やがて、輪切りにされた貴金属は当時の支配者の権力を象徴するモチーフが刻み込まれるようになり、今のコインの原型が出現し始めます。どれくらい古いコインがあって、どのようなデザインでどれくらいの価格で売買されているのか、大まかに古い順から見ていきましょう。

 

世界最古のコイン

現存する世界最古のコインは、紀元前600年頃の「リディア王国のライオンコイン」で、「エレクトロン通貨」とも呼ばれているコインです。エレクトロンとは金と銀・銅などが混じり合った天然の金属のことで、当時重宝された金属の1つです。

 

[古代リディア王国 ライオン コイン 紀元前610~546年]

リディア王国は今のトルコ西部に位置する古代都市で、リディア王クロイソスの象徴であるライオンの頭部が形どられています。他にも、雄牛やヤギなど数種類のコインが発見されています。

 

価格相場:サイズやグレードによって20万~200万円ぐらい

 

古代ローマ・ギリシャのコイン

紀元前500年あたりから、古代ギリシャでも数多くのコインが製造されており、アンティークコイン市場にも多様な種類のコインが出回っています。紀元前100年未満になると古代ローマのコインも増えてきます。



[古代ギリシャ アテネ ふくろう 紀元前440~404年]

古代ギリシャのコインの代表的なモチーフの1つが、ギリシャ神話の女神アテネとフクロウです。現在のアテネ周辺で普及した銀貨で、古代ギリシャの取引や貿易にメインで広く使われ、テトラドラクマ銀貨とも呼ばれています。

 

価格相場:グレードによって10万円~300万円ぐらい

 

[古代ローマ ガレー船 紀元前30~27年]

古代ローマの人気のモチーフの1つが海戦に使われたガレー船です。上記は紀元前30年~27年のアクティアム海戦の時に発行されたデナトリアス銀貨で、古代ローマでは年代によって様々なタイプのガレー船のコインが製造されています。

 

価格相場:グレードや製造時期によって30万円~300万円ぐらい

 

ヨーロッパのコイン

10世紀以降の中世ヨーロッパの時代になると、これまでの原始的なデザインから幾何学的で綿密なデザインへとコインのモチーフも変わっていきます。

 

そして15世紀以降になると、優れた様式のコインが多数出現します。レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロでおなじみのイタリア、バロック・ロココ調の傑作を多数生み出したフランス、そして世界最大のゴシック建築を誇るドイツ。ヨーロッパは美術的価値が高いアンティークコインの宝庫です。

 

[イタリア フィレンツェ フィオリーノ 1436年]

上記は、イタリアルネサンスの発祥の地フィレンツェ(フローレンス)で発行された金貨です。フィレンツェの紋章であり聖母マリアのシンボルでもある百合の花と聖ジョンが描かれ、イタリアの芸術と商業発展を記念しています。

 

価格相場:グレードによって30万円~150万円ぐらい

 

[フランス ルイ16世 ルイドール金貨 1786年]

フランス革命時に処刑された、絶対王政時代の最後の国王ルイ16世の金貨です。革命後にルイドール金貨の製造が停止されたため、希少価値が高いコインの1つです。

価格相場:グレードによって10万円~120万円ぐらい

 

[ドイツ バイエルン マクシミリアン2世 1850年]

上記は1850年に発行された第3代目のバイエルン国王、マクシミリアン2世のダカット金貨です。発行数が非常に少ないため、今後の値上がりも期待できるアンティークコインです。

 

価格相場:グレードによって40万円~90万円ぐらい

 

英国のコイン

19世紀に入ると、コインのデザインもコレクターや投資家を意識した絵画・彫刻的デザインの記念もののコインが増えてきます。

 

英国では、Royal Mintと呼ばれる高度な技術を持つ貨幣造幣局があり、信頼と品質の高さでアンティークコインの中でも独自のブランド性を確立しています。流動性が高く、売買しやすいのが大きな特徴です。

 

[イギリス ヴィクトリア没後100年記念 2001年]

ヴィクトリア女王没後100年を記念して発行された5ポンド銀貨です。ヴィクトリア女王の若い時の肖像と、エリザベス2世の肖像が組み合わされています。エリザベス2世もヴィクトリア女王もアンティークコインでは人気のテーマです。

 

価格相場:グレードによって10万~55万円ぐらい

 

アンティークコインと貴金属

アンティークコインは金や銀などの高価な貴金属が使われているものが多いため、貴金属投資の一環としても購入されています。ここではアンティークコインの素材を紹介していきます。

 

金・プラチナ

アンティークコインの素材で最も高価な貴金属は金・プラチナです。プラチナは金よりも希少価値が高いため数も少ないのが特徴です。

 

金は純金の場合で99.99%の含有率、24Kとも呼ばれています。プラチナは99.95%の含有率が最も純度が高い品質とされています。純度が低くなるにつれ価格も安くなっていきます。

 

1gの金・プラチナの価格相場を20年間で見ると、金が安値の時で3,500円程度、高値の時で6,600円程度。プラチナは安値の時で2,500円程度、高値の時で7,400円程度です。

 

シルバー

アンティークコインで最も多いのがシルバーで、シルバーの含有率は最高純度のもので100%。次いで95.0%、92.5%、90.0%の順で価格が下がっていきます。

 

シルバー1gの20年間の価格相場は、安値の時で21円程度、高値の時で129円程度で若干価格差が激しいのが特徴です。



銅もアンティークコインでよく使われている素材で、金や銀に比べると価格が数段安くなります。銅のコインは通常は亜鉛やスズなど他の金属との合金で使われているものが多いのが特徴です。

 

最高純度のもので97.5%、時代によって銅の含有率は大きく異なります。古いものでは青銅、真鍮などがあります。銅の20年間の価格相場は1kgで190円~750円程度で工業の需要などから変動が激しくなります。



その他メタル(合金、メッキなど)

その他のコインの素材には、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウムなどの合金が多くなり、価格も一段と安くなっていきます。

 

合金の安価なコインの中には、表面だけ金・プラチナ・銀で塗装したメッキ加工のコインもあります。メッキ加工のコインだと、通常の合金よりはやや価格が高くなる傾向にあります。

 

アンティークコイン投資の魅力とリスク

アンティークコインは安定性が高い貴金属投資と、年月が経つほどに価値が高くなりやすい美術品投資と双方のメリットを兼ね備えた手堅い投資方法として注目されています。

 

最後にアンティークコイン投資の魅力とリスクを見ていきましょう。

  

アンティークコイン投資の魅力

アンティークコインを購入する人たちの中には、投資を目的とせず収集して愛おしむコレクターもいます。アンティークコイン投資の魅力は、過去の美術品や芸術品に触れながら趣味として愉しめる点にあります。

 

また、アンティークコインを投資・資産運用として活用することの最大のメリットは、多くの金融商品とは異なり、金融市場の価格変動の影響を受けにくいことです。

 

株式や為替などの金融商品はは企業が倒産したり、国家が壊滅したりすれば価値がゼロになる可能性があります。しかし貴金属は古代から価値がある金属と見なされており、国や企業の業績とは全く関係ありません。価値がゼロになることもなく世界中で売買が可能です。

 

とくに世界的に経済が落ち込んだ時などは、万が一に備えて貴金属を購入する投資家が増えるため、価格が逆に上昇する傾向にあります。経済低迷時に強い金融資産として、購入しておく投資家も少ないのです。

 

さらにアンティークコインは貴金属の安定した価値を有するだけでなく、美術品としての価値があります。絵画や彫刻、ジュエリーのように年月が経つほどに入手が困難となり価格が上昇する特質を持っています。

 

アンティークコイン投資のリスク

アンティークコインは魅力的な投資である一方では、リスクもあるので注意しなければなりません。アンティークコインで最も注意すべきリスクとは、贋作や劣化がひどいコインを購入する恐れがあることです。信頼できるアンティークコインディーラーから購入することが大切です。

 

盗難や紛失・破損の恐れがあることもアンティークコインのもう1つのリスクです。高額なアンティークコインを購入した時には、必ず美術品が保証される保険に加入しておくようにしましょう。

 

あと最後にアンティークコイン投資で理解しておくことは、アンティークコインが値上がりするまでには一定以上の年数がかかることです。アンティークコイン投資は、数日~数か月程度で利益を狙う投資方法ではありません。長期的な視野でじっくり取り組みむことが成功のポイントです。

 

まとめ

今回は資産運用でも注目されているアンティークコインについて解説していきました。アンティークコイン投資がどのような投資方法になるのか、大まかなイメージを掴んで頂けたのではないでしょうか。

 

アンティークコインは貴金属の価値と美術品の価値を合わせ持った手堅い投資方法です。それぞれの目的や予算さらに趣向に合わせて、幅広い種類の中から選ぶことが可能です。

 

アンティークコインなら初心者でも愉しみながら、気軽に資産運用を始めることができます。ぜひ、この機会に大切な資産の1つと呼べるような、価値あるアンティークコインを1枚探してみましょう。